相続で困らないために|手続きの流れ・期限・注意点を分かりやすく解説

相続手続きは、故人の遺志を尊重し、相続財産を適切に継承するための重要なプロセスです。

しかし、その手続きは多岐にわたり、期限も定められているため、計画的に進めることが求められます。本記事では、相続手続きの全体的な流れを、解説いたします。

相続手続きの全体像

相続手続きは、大きく以下のステップに分けられます:

  1. 相続人の確定
  2. 相続財産の確定
  3. 遺産分割協議書作成
  4. 相続財産の名義変更不動産登記
  5. 相続税の申告・納付

各ステップには、特定の手続きや期限が存在します。以下で詳しく見ていきましょう。

1. 相続人の確定

まず、誰が相続人となるのかを確定します。民法では、相続人の順位が定められています。

被相続人(故人)の配偶者は常に相続人となり、これに加えて以下の順位で相続人が決まります

  • 第1順位:子(子が既に亡くなっている場合は孫)
  • 第2順位:直系尊属(父母、祖父母)
  • 第3順位:兄弟姉妹(兄弟姉妹が既に亡くなっている場合は甥・姪)

相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取得し、法定相続人を確定します。

2. 相続財産の確定

次に、相続財産を把握します。これには、プラスの財産(不動産、預貯金、株式など)だけでなく、マイナスの財産(借金、未払いの税金など)も含まれます。財産の全体像を正確に把握することで、後の遺産分割や相続税の申告が円滑に進みます。

3. 遺産分割協議

相続人全員で、遺産の分割方法を話し合います。遺言書が存在する場合は、その内容に従いますが、遺言書がない場合や遺言書に記載のない財産については、相続人全員の合意が必要です。合意が得られたら、遺産分割協議書を作成し、全員が署名・押印します。

4. 相続財産の名義変更等

遺産分割協議が完了したら、各財産の名義変更手続きを行います。例えば、不動産の所有権移転登記や、預貯金の解約・名義変更などです。これらの手続きには、遺産分割協議書や戸籍謄本などが必要となります。

5. 相続税の申告・納付

相続税の申告・納付は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。相続税が発生するかどうかは、基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を超えるかどうかで判断されます。申告が必要な場合は、税務署に相続税申告書を提出し、納税を行います。

期限に注意すべき手続き

相続手続きには、以下のように期限が定められているものがあります:

  • 7日以内:死亡届の提出
  • 3ヶ月以内:相続放棄や限定承認の申述
  • 4ヶ月以内:被相続人の所得税の準確定申告
  • 10ヶ月以内:相続税の申告・納付

これらの期限を守らないと、ペナルティが発生する可能性がありますので、注意が必要です。

まとめ

相続手続きは複雑で多岐にわたりますが、各ステップを順を追って進めることで、円滑に進めることが可能です。不明な点や不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。当事務所では、相続手続きに関するご相談を承っておりますので、お気軽にお問い合わせください。

相続は、故人からの最後の贈り物とも言えます。その遺志を尊重し、適切に手続きを進めることで、円満な相続を実現しましょう。