相続業務の中で最も分かりにくいが、最も実務で関係してくる概念がこの「遺留分」という制度です。
簡単に言えば、亡くなった方の遺産のうち自分が相続できることが保証されている相続分のことです。
法律で定められた遺留分の対象者
- 直系卑属(子供)
- 配偶者
- 直系尊属(親)
これらの対象者は、故人の財産に対して一定の割合を請求する権利を有します。
遺留分の割合
(1)配偶者又は子のみが相続人の場合 2分の1
(2)直系尊属のみが相続人の場合 3分の1
(3)兄弟姉妹のみが相続人の場合 遺留分なし
(4)配偶者と子が相続人の場合 配偶者が4分の1、子が4分の1
(5)配偶者と父母が相続人の場合 配偶者が3分の1、父母が6分の1
(6)配偶者と兄弟姉妹が相続人の場合 配偶者が2分の1、兄弟姉妹は遺留分なし子供と配偶者がいる場合、その財産の半分が遺留分として保護されます。
遺留分侵害請求
遺留分が侵害されたと感じる場合、対象者は遺留分侵害額請求を行うことができます。この請求を通じて、法律で保証された最低限の財産分配を実現することが可能です。
請求の手続き
- 遺留分の計算:まず、遺留分の正確な金額を計算します。
- 請求の通知:遺留分の請求をする意思を遺産分配者に正式に通知します。
- 調停または裁判:合意に至らない場合、法的な手続きを通じて請求を進めます。
注意点
遺留分の請求には期限があります。遺産分配の知らせを受けてから一定期間内に請求を行わなければなりません。この期限を逃すと、遺留分請求権を失う可能性があるため注意が必要です。
実践的なアドバイス
遺言の作成時
- 遺言を作成する際は、遺留分を十分に考慮に入れることが重要です。
- 専門家と相談し、法的なトラブルを避けるための遺言の書き方を理解しましょう。
遺産分配において
- 遺留分の請求権者は、自己の権利を正確に理解し、必要な手続きを適切に行うことが重要です。
- 法的なアドバイスを受け、遺留分侵害額請求の可能性に備えましょう。