4月解禁と大騒ぎしました民泊の規制緩和ですが、蓋を開けてみればその実質はなんら従来の規制と変わっておりません。
具体的には、4月から改正旅館業法施行令が施行され、簡易宿所の最低床面積が緩和されました。詳しくは第6回民泊サービスのあり方に関する検討会の分析①~フロント設置義務廃止~で書いていますので参考にしてください。
この面積要件の緩和に関しては施行令の改正なので各自治体でも簡易宿所の許可要件にばっちりと反映させております。それについて、某役所に問い合わせたところ「床面積要件は緩和したけど、だからって許可とりやすくなったわけじゃないよ?」と半分けんか腰でご回答いただきました。怖いです。
他方、今回の改正の大目玉であった玄関帳場(フロント)の設置義務ですが、そこはやはり各自治体はしっかりと反映していません。なぜなら、各自治体の条例中で玄関帳場を要求しているからです。玄関帳場についての改正があった通知より条例のほうが強いわけですね。2016年8月16日追記:墨田区、足立区では10人未満の施設の場合玄関帳場は不要です。この2自治体では改正を反映させてます。詳しくは、墨田区と足立区では、定員10人未満の簡易宿所の場合フロント不要ですを参考にしてください。
なので、㎡数の緩和は各自治体の基準にしっかり反映されていますが、最も大切な玄関帳場の設置義務については従来と何ら変わりはありません。条例中で玄関帳場が必要とされていれば必要だし、条例に玄関帳場の規定がなけれな玄関帳場は不要なはずです。ここで、「はずです」と言ったのは現実の運用はそうではないからです。
現実の運用は、玄関帳場の規定が条例中になくてもそれに準じるような代替設備をもとめてくる自治体がほとんどです。そりゃ、宿泊台帳書いてもらうのにそういった施設は必要なわけですから、そこはそうでしょう。
もっとも、そもそも条例中に玄関帳場の規定がない自治体であれば若干の交渉の余地はあるのかな、とは考えています。それが玄関帳場の代替設備をどこまで要求するのかという問題ですね。
ここは、僕らの腕の見せ所でどういったモデルケースを今後作り上げていくのかが楽しみな部分でもあります。
こういった状況をとらえて現在民泊市場に打って出ようとしている各業者は特区民泊でもなく、規制緩和民泊でもなく、旅館業の簡易宿所ベースで動きはじめております。先日の某上場企業様との相談も完全にそっちシフトの相談でした。お金さえかければ正面からの許可取得がやっぱり一番早いです。
最後に、現在23区の自治体の旅館業法施行条例中、玄関帳場が要求されていない自治体をまとめておきます。
港区・品川区・目黒区・墨田区・江東区・荒川区・北区・板橋区・練馬区・葛飾区・足立区・中野区となります(文京・江戸川未確認)。意外と多いです。この自治体は現在のところ条例中に玄関帳場の規定はありません。もっともその場合でも玄関帳場代替施設は要求されるところがほとんどですのであしからず。
上記の自治体で簡易宿所の取得を検討されている方は、ご連絡をお待ちしております。
冬木 洋二朗
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