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年の瀬のこの時期になると必ず思い出す話があります。

2年前の話です。

都内の雑居ビルのワンフロアを簡易宿所に用途変更する案件で、私は簡易宿所許可を、いつも一緒に動いている建築士は用途変更を担当していました。

工事業者は私が事業主に紹介し、家具などの選定も弊所で行いました。

工事が着工して2か月ぐらいがたった頃、その日の朝、現場監督から一通のショートメッセージが僕の携帯に届きました。

「うちの会社やばいみたいです。おそらく倒産します。」

え。

・・・・。

頭の中が真っ白になり、言葉が出てきませんでした。なにかのドッキリかと思いましたが、そんなドッキリ仕掛けたところで誰も得しません。

急遽、現場に行き、現場監督から話しを聞くと、どうやら数か月前から現場で使う材料の支払いもできていないらしく、新しい現場の着手金を別の現場の材料費に回したりしてなんとかなってきた状態だったとのこと。

資材が届かないから現場も一向に進まない。そんな中、現場監督は疑念を抱きながらも日々社長に対して、材料の発注状況を確認していたみたいです。

いくつか、かかえている他の現場も同じ状態で工事が止まったままとのこと。

社長に電話はするが、一向につながらず・・

その後、私と建築士と現場監督、不動産業者等関係者全員で事業主のところに事実を伝えにいきました。吐きそうな気持ちで事業主のところへ向かったのを今でも思い出します。

当然、謝って許される問題ではなく、私は報酬の一部を返金する形で責任をとりました。うちで紹介した業者でしたので当然のけじめです。

そして、次の日には社長の代理人弁護士が工事会社に現れ、社長からの解雇通知を従業員に渡しました。社長は雲隠れ、従業員の給料も、下請け業者にも、もちろん工事費は払われていません。社長との連絡はその後、一度もとれませんでした。

結局仕事を安く受けすぎたため、資金繰りが立ち行かなくなってしまったとのことでした。

その後、下請け業者に無理を言って、安い代金で事業主から再発注をし、なんとか形にし、許可までこぎつけました。いまも、その簡易宿所は営業中です。

過去に実際にその業者が仕上げた現場を確認しているので、すっかり安心しきっていました。今、考えるといくつか倒産のシグナルがあったかと思いますが、それは後から考えるからであって、さすがに当時は見抜けませんでした。

当時感じた違和感が倒産のシグナルだったかもしれません。

3つにまとめました。

①工事代金を早めに請求してくる

通常、工事代金は工期によって3回から4回で支払われます。着手金で1回、中間検査で1回、引き渡し時で1回という感じです。

着手金は契約後、工事着手前に払うものですので、この時点で怪しい部分にはなかなか気づきにくいかと思います。工事完了後の引き渡し時の支払いでも、すでに工事か完了しているので、怪しい部分は感じられない場合が多いと思います。

したがって、もっとも注意しなければならないのは中間金の支払い時です。工事業者が倒産するのであればこの時期が最も怪しいです。

ですので中間金の支払いについては、支払い要件をしっかりと決めておくこと。中間検査がある場合であれば、中間検査を無事通過した時点、中間検査がないのであればこの部分まで完成した時点という感じでわかりやすい中間ポイントを決めておくことが大切です。

この業者もまさに中間金の支払いを待って飛んでしまいました。ただ、正確には事業主のところに早めに中間金を払ってほしいと連絡が来たみたいです。事業主としては、そんな事があったので、飛んだ話しをした際も「やっぱりね」という感じでした。

中間金の支払いを早めにお願いしてくる。倒産シグナル1つ点灯です。

②社長の身だしなみが整っていない

よく言われる感じですが、実際にそうでした。ワイシャツはシワシワ、袖口と襟元は若干黄ばんでいる感じ。洋服にまで気が回らなかったのでしょう。

打ち合わせの時など、清潔感は全くなかったのを覚えています。倒産シグナルの2つ目です。

③電話はしっかりとつながる

実際に業者が飛んでしまうXデーまでは、電話やメールでの連絡はしっかりととれるはずです。雲隠れを諭させないためなのか、最後まで信頼を裏切れないのか、その日までは連絡の際のレスポンスは普通に良いです

ただ、その日を境に連絡は一切とれなくなりますのでご注意を。

こんな感じで当時感じた違和感を3つにまとめました。

もっとも大切なポイントはやはり、工事代金の支払いを早めてくるという点かと思います。なので、こういった事が起こったら代金の支払いを早める理由をしっかりと聞くことが大切かと思います。現場の人間から世間話のつもりで情報収集するのも良いかと思います。

現場の人間であれば材料が届いていないとか、工事に遅れが出ているとか、そういった違和感はすぐに感じると思います。

工事は金額が大きいですから、過去に一緒にやったことがない業者に頼むのは非常に危険です。あとは、極端に工事費が安すぎる業者というのも今回がそうであったように非常に危険です。

大切なのは、工事の進捗なりを全て業者にまかせっきりにしないで、常に動きを把握することだと思います。

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冬木 洋二朗

代表・行政書士Team NanatsuBa
民泊実務集団TEAM NanatsuBa代表。 行政書士。 適法・合法な民泊運営の為の各種許可申請代行を専門家チームで行っております。これまで、上場企業から個人投資家まで多くの方とご一緒にお仕事をさせていただきました。2014年から、当ブログで情報発信をしています。