最近では、簡易宿所だから全室ドミトリー、旅館業だから全室個室というわけではなく、様々な宿泊スタイルに合わせて、ドミトリーの部屋と個室の部屋をうまく組み合わせた施設造りがとても大切です。
旅館業法上、簡易宿所における個室部屋の割合や、反対に旅館業におけるドミトリー部屋の割合は決まっておりますので、それをしっかりと理解していないと、いざ造ったはいいが有効床面積が足りなかったという事態にならないともかぎりません。
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なので、今回はそこら辺の情報をまとめていこうかと思います。
簡易宿所メインの場合
まず、大前提として簡易宿所はドミトリ―タイプでの運用がメインとなります。
ここら辺は簡易宿所と旅館業の違いですので前提知識がない方は簡易宿所と旅館の大きな違い~①宿泊定員編~を参照してください。
床面積1/2未満の部屋
ただ、全室ドミトリータイプにしなければならないかというと、そうではなくて客室の床面積の1/2を超えない範囲の客室については旅館業のように個室としての運用ができます。
基本は、山小屋のように追い込み式での運用ですが、床面積が1/2未満の客室はそういった使い方をしなくて良いということです。
ここで、論点が1つ出てきます。
収容定員の基準は?
では、1/2未満で用意した簡易宿所での個室客室の収容定員の基準はどのような感じでしょうか。
そもそも、各客室の収容定員を決めるには旅館業法上、1人あたりで確保しなければならない面積が決まっています。
簡易宿所なら1人あたり1.5㎡の広さが、旅館業であれば1人あたり3㎡の広さが必要になります。 |
旅館業のように個室として使うのだから、簡易宿所であっても個室の客室は旅館業と同じ3㎡/1人にすべきとも考えられますし、あくまで簡易宿所なんだから簡易宿所の基準である1.5㎡/1人でいくべきではないかとも考えられます。
この点、3㎡/1人の広さを確保しなければならないなら2人部屋の場合最低で6㎡なければなりません。
これに対して1.5㎡/1人でいいなら2人部屋の場合最低3㎡を有効面積で確保すればいいわけです。
自治体ごとの解釈
ここら辺は自治体でかなり扱いが異なる部分だと思います。今やっております台東区では、基本的な考え方はメイン形態に引っ張られるという扱いです。
要するに、簡易宿所として申請するなら個室客室でもゲスト1人あたりにつき確保しなければならない面積は簡易宿所基準で考えて良いということ。
したがって、1.5㎡/1人で良いということです。
以上より、簡易宿所であれば個室客室でもドミトリー部屋でも1.5㎡/1人の面積確保で足りるということです。
旅館業メインの場合
旅館業メインの場合でも、ドミトリーの部屋を造ることができます。
その場合は台東区であれば客室床面積の1/3未満です。ここら辺は自治体ごとに異なってくる部分です。
1/2という自治体もありますし、台東区のようになぜか1/3という自治体もあります。
メインとなる形態は何か
簡易宿所の場合と同様にドミトリー部屋の有効面積も、そもそものメイン形態である旅館業を基準として考えますので3㎡/1人となります。
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今度は簡易宿所とは逆にかなり広いスペースをドミトリー用に確保しなければなりません。ちょっと旅館メインだとやりにくいですね。
ただ、許可自体は旅館営業のほうが取得しやすいです。
まとめ
今回は、簡易宿所や旅館業で、想定された宿泊スタイル以外の形態でゲストを宿泊させる場合について解説しました。
大切なポイントは、メインとなる宿泊スタイルが基準となるということ。
簡易宿所メインであればあくまで、ドミトリー部屋の規制が適用されるということです。
今回、紹介した考え方はあくまで東京の一部の自治体のものですので、他の自治体の場合には必ず事前確認をしてください。
冬木 洋二朗
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