簡易宿所での「多数人が共用する構造設備」とはどんなものなのでしょう?簡易宿所での多数人が共用する設備について注意点をまとめました。
簡易宿所=多数人が共用する構造
まず、大前提として多数人が共用する構造設備とは、簡易宿所での許可取得の為に必要な部屋(施設)の構造のことです。簡易宿所が旅館・ホテルと大きく異なる部分が、この部屋の構造の部分です。
ホテルや旅館の場合には、1部屋1グループという感じで宿泊客を入れていきます。これに対して簡易宿所の場合は、1部屋1グループという感じではなく、山小屋やカプセルホテルみたいに追い込み式で可能な限り宿泊客を1部屋に入れていくような形を想定しています。なので、簡易宿所の場合は他人同士で同じ部屋に泊まることが通常なわけです。
解釈での運用
もっとも、簡易宿所で要求されている「多数人が共用する構造設備」とはいったいどんな部屋なのかについては条文上明確な規定があるわけではなく、解釈で運用されています。
具体的には、多数人で共用する構造及び設備とは、①面積、②寝具設備等から判断して③1室に2人以上宿泊することが可能であり、かつ、④営業者が当該客室を多数人で使用させるものとして予定していることが客観的に認められるもの、のことです。
分解してわかりやすくしてみましょう。
- 部屋の面積:面積の部分は客室面積や1人あたりの有効面積と関連してきますので、そっちの基準に従っていれば問題ないでしょう。
- 寝具設備:多数人を宿泊させるのにベットが1つしかないような場合はNGです。宿泊定員数に応じた寝具を用意していれば問題なしです。
- 宿泊人数:多数人ですから2人以上の宿泊定員が必要です。
- 運用形態:営業者が客室を多数人で使用させる予定であること。客観的にというのは運営者がただそう考えているだけではなくて、実際に多数人が宿泊できるような部屋の作りになっていないとダメということでしょう。
以上が、簡易宿所で必要な「多数人が共用する構造設備」の解釈を分解したものです。ようは、広さと設備から考えて2人以上が宿泊できるような部屋であれば、そこは「多数人が共用する構造設備」を有した部屋と言えるということです。
なので、ホテルや旅館の1室であっても2人以上の宿泊ができる部屋であれば、そこは簡易宿所が想定している「多数人が共用する構造設備」を有している部屋といえます。ただ、その場合トイレの個数なんかの問題は別で出てきますが、ここでは割愛します。
冬木 洋二朗
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