北区での民泊新法の申請が無事終わりましたので、振り返りと案件の解説なんかをしたいと思います。
物件詳細です。
場所:東京都北区
用途地域:準工業 築年数:平成30年5月 物件規模:木造3階建て共同住宅、延床面積298.77㎡ 対象部分:25㎡、1階部分の1室のみ民泊として使用 民泊形態:家主不在型 |
保健所対応
用途地域
用途地域は準工業ですが、北区では用途地域による営業日数の制限はありませんので、何でも構いません。準工業でも問題なしです。
住宅の使用方法
このブログでこれまで何度も触れてますが、民泊新法で申請できる住宅というのは①自分が住んでいる家②賃借人募集中の家③別荘、セカンドハウスの3つのカテゴリーに分かれます。今回は賃借人募集中の住宅でしたので②として申請しました。
添付書類は、マイソクのみです。他に不動産仲介業者と交わしている契約書も添付しましたが、不要とのことで返却されました。
新築物件ということ
この物件は平成30年5月新築です。申請をしたのは7月ですので、これまでこの物件に賃借人が入ったことはありません。
昨日の記事でも書いたとおり②の要件において新築ということは一切関係ありません。
近隣周知
届出住宅の敷地から10m四方の住宅にポスティングしました。住宅だけでなく店舗にもポスティングしました。ポスティング対象には産婦人科医院、薬局がありましたが、ポスティング後何も連絡はきませんでした。
届出住宅が入っている共同住宅の別の部屋にもポスティングが必要ですが、北区の場合は同じ階であれば両サイドの部屋、階が変われば届出住宅の上下に位置する部屋のみにポスティングでOKです。
ちなみに、この周知結果をまとめた書類は事業者での保管は必要ですが、北区の場合申請の際の添付書類ではありません。
安全措置
ここが結構難しい部分かと思います。安全措置として必要なものは今回では、非常用照明のみでした。
自動火災報知設備や誘導灯は消防設備として必要ですが、安全措置の観点からは今回は不要。ここら辺はややこしい部分ですので、いずれまとめます。
消防で必要な設備と安全措置で必要な部分が重なっているので混乱しやすいですが、手引きをしっかりと読み込めば難しいことはないかと思います。
ちなみに、非常用照明とは以下のようなものです。停電になった時、これだけが点灯するようになっています。ですので、通常は消えている状態です。
安全措置のチェックリストですが、作成者は原則申請者で構いませんが、一定の状態の物件に関しては建築士が作成することが求められます。で、通常、安全措置のチェックリストは添付書類なのですが今回は例外事由にあたりましたので、添付書類として提出はしていません。
例外事由は以下の場合。
消防署に対する相談記録が添付されている場合は、平成29年12月26日国土交通省が作成した「民泊の安全措置の手引き」2の(2)届出住宅の図面上の記載例を参考にして、正確に自動火災報知設備(感知器)や非常用照明器具等の設置位置、避難経路(距離が読み取れるもの)が記されている図面の提出をもって、【様式2】のチェックリストに代えることができます。なお、非常用照明器具の設置については、事業者自身で「民泊の安全措置の手引き」にて必要な場所を確認し、設置場所を図面に記入してください。
ようするに、消防署への相談記録があり、図面をしっかりと作成すれば安全措置のチェックリストは不要ということです。
消防署への相談記録はチェックリスト云々に関わらず必要なものですので、いずれにしろ用意しなければならないし、図面への各設備の落とし込みもそこまで難易度は高くありません。自分でやろうと思ってできないレベルではありません。
保健所対応はこんな感じでしょうか。
消防署対応
消防署への対応は、事前の相談と消防設備の施工が必要になります。業者に頼むのが一番確実で早いです。工事完了、消防検査までは1か月程度です。
消防署に相談にいくと、相談内容を提出用の書類にまとめてくれますので、その指示に従い書類を作成してください。今回は、通常の共同住宅で住宅用火災報知器しかついていませんでしたので、新規で自動火災報知設備と誘導灯を設置しました。
ただ、自動火災報知設備は特定小規模施設用自動火災報知設備という無線式のもので間に合いました。
無線式のものか、通常の有線のものかの判断はなかなか素人の方ですと難しい部分ですので消防署で「特定小規模施設用自動火災報知設備」ではダメですか?と聞いてみるのがいいかも知れません。
ここで、無線式の特定小規模が使えるか、それとも有線の通常の自動火災報知設備を導入するかで費用が全く異なります。今回は1階かつ届出住宅の規模が小規模でしたので無線式の特定小規模でいくことができました。
誘導灯は、室内は不要でしたので共用入口に一か所のみ設置しました。ケーブル類は共用電源まで隠蔽で施工。新築物件ですので見た目的にも隠蔽がベストでした。カーペットやカーテンが防炎製品を使用。
消防は忙しいので、相談予約も検査も余裕をもった日程確保が必須です。
建築対応
用途がもともと共同住宅ですので、建築的には何もすることはありません。用途が事務所用途とかですと建築的に住宅用途になっているかの確認、場合によっては用途変更が必要になります。
まとめ
以上が北区の基準に則った民泊新法で申請する場合のポイントになります。
消防が一番めんどくさい部分で時間も費用もかかります。工事は素人ではできません。とりわけ誘導灯設置工事は電気工事の資格がないとできませんので、はじめから業者に頼むことをおすすめします。
ちなみに、届出は北区保健所に申請してから3日程度で完了しました。北区、処理が早いです。
では、また。
冬木 洋二朗
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