昨日に引き続き民泊新法(住宅宿泊事業者法)について。規制改革会議での議事録をもとに巷ではあまり触れられていない民泊新法(住宅宿泊事業者法)の論点について触れていこうと思います。
特区民泊と民泊新法(住宅宿泊事業者法)の関係
これは、私としてもかなり気になっていた部分であります。特区民泊ができる地域で民泊新法(住宅宿泊事業者法)による民泊を行った場合にはその適用関係はどうなるのか?という論点です。
例えば、東京だと特区民泊ができる地域は大田区のみですが(2017年6月現在)そこで民泊をやりたい場合、特区民泊でやるか、民泊新法(住宅宿泊事業者法)でやるかという2つの道があるわけです。
この2つはどうゆう関係にあるの?ということが問題の所在です。一番論点がはっきりするのが民泊新法(住宅宿泊事業者法)に基づいて届け出た物件で特区民泊はできるのですか。ということです。
そこら辺の関係はどうなのでしょうか?
規制改革会議での記事録をもとに観光庁の意見をみてみましょう。
質問者:既に特区民泊というのは動いているわけでして、例えば大田区であれば2泊3日以上(原文ママ)あれば180日の規制はなくていいと。これが施行されると、2つの法律が並行して存在することになる。住宅宿泊事業者の場合は、どちらの法律を使ってもいいのか、あるいはいずれかでなければいけないのか、そのあたりの調整がないと混乱すると思いますけれども、それについてはどう考えておられるのかという3点目、よろしくお願いいたし ます。
観光庁:特区民泊の関係は、今回の法制は全国的にベースになる基本法のような形の法制になりますので、180日を超えてさらに営業されたい場合には、特区を使って、2泊3日(原文ママ)という制限はありますけれども、365日そういう形で営業していただくことも可能でございます。
※大田区の特区民泊で2泊3日という記述がありますけど、6泊7日の間違いです。そのまま引用しました。
ようは、民泊新法(住宅宿泊事業者法)を使って180日だけ運用して、残りの185日は特区民泊として運用して良いですよということです。例えば、1月~6月は民泊新法(住宅宿泊事業者法)で運用する。で、夏休み中の長期宿泊客を狙って7月からは特区民泊で運用する。
民泊新法(住宅宿泊事業者法)の空白日数の埋め方として、一年の後半を賃貸のマンスリーで運用するっての最近聞きますけど、後半を特区民泊で運用ってのは聞いたことないです。
こんなことが可能ってことです。
ただ、2重登録はだめみたいです。
質問者:そうすると、関連ですけれども、家主のほうは自由に選べるわけですね。場合によって、180日までは今のルールを使って、それを超したら特区民泊にシフトすることも可能なのか。それを看板か何かで区別するのですか。また利用者に対してどのように説明するのですか。
観光庁:どちらかを選んでいただくことになります。こちらの法案でやっていただいて、180日以内で営業していただくか、あるいはこちらはやめて、完全に特区だけで やっていただくか、どちらかでございます。
どっちかを選んでください、ということです。新法か特区民泊か。混合させたらそれこそ収集つかなくなってしまいますからね。
ということは、民泊新法(住宅宿泊事業者法)の稼働できない185日だけ特区民泊で回す為には一旦新法での運用をやめる必要があるということ。新法での届出を廃止して、新たに特区民泊を申請する。
次の年も同じことをする。1月から6月は民泊新法(住宅宿泊事業者法)で180日運用をして、7月から12月は特区民泊の申請をして6泊7日の運用をする。
その都度申請をしないといけない。かなりめんどくさいですが、そんな運用方法が出てきてもおかしくはないという気がします。
個人的な意見としてはそんなことしているならさっさと簡易宿所なり旅館業なりとっちゃおーよ、という感じですが、需要がないわけではなさそう。
ハイブリット民泊。
特区民泊と民泊新法(住宅宿泊事業者法)の使い分け民泊を今後はこう呼ぶようにしましょう。
ただ、一番大切な点としてこのハイブリット民泊は特区民泊がそもそもできる地域でないとできません。東京では大田区のみです。東京の他の自治体が特区民泊をはじめれば爆発しそうですので、ポテンシャルは高そうですが。現状では、ちょっとリアリティに欠けますね。
冬木 洋二朗
最新記事 by 冬木 洋二朗 (全て見る)
- 新型コロナ無利子・無担保融資情報 - 2020年3月30日
- 銀座地区での旅館営業を行う場合の地区計画について解説しました - 2019年12月25日
- 簡易宿所の工事を頼んでいた工事業者の倒産から学ぶ3つの倒産シグナル - 2019年12月24日