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こんな、お問い合わせをいただきました。

はじまして。(原文ママ)
これから一年以内に新しい宿泊施設を独立して開業することを目標にして、その準備に取り掛かろうとしているところで、対象物件を決めるにあたり、御社ホームページや冬木先生が発信されているフェイスブックなどの情報を見つけ、この度お問い合わせをさせていただきまして。
○○県が、御社が対象とされる地域ではないことは重々承知をしているのですが、何かヒントとなるアドバイスや、またはご紹介いただける専門家の先生がいらっしゃらないかという内容も含めて、ご教示いただければ幸いです。

ご相談内容は下記の通りです。
1. 相談内容
現在購入を検討している物件は、確認済証のみがあり検査済証がない物件なのですが、用途変更が可能かどうかについて。

2. 物件概要
建物延面積:約200㎡
階建:地上3階建、地下1階(地下は登記されていない)

現在考えている業態は、2階と3階に25名〜30名宿泊できるゲストハウス、一階と地下をゲスト共用キッチンと、カフェもしくはスポーツバーを営業。地下は天井が低いので、使い方を今後検討。

手元には、見づらいですが青焼き図面のコピーがあります。
どのような些細な内容でも、ご教示いただければ幸甚です。
何卒、宜しくお願い申し上げます。

残念ながら弊所の対象地域ではないのですが、私がわかる範囲でお答えさせていただければと思います。

まずは、検査済証がない点について。

検査済証がないということ

検査済証がないという状態には2種類のパターンがあります。

物理的に検査済証がない場合

まずは、竣工時に最終検査は行い、検査済証が当時は発行されたが、その後紛失等により今現在は「ない」場合。

ようは、物理的に検査済証が「いまは」ない場合。この場合には、検査済証が一度は発行されていますので、最終検査は問題なくクリアしているということ。したがって、今回用途変更する際に、確認検査機関でその旨説明すれば検査済証がある場合と変わりなく扱ってくれるはずです。

役所の建築指導課にいき「台帳記載事項証明書」というものを取得しましょう。最終検査を行っていて、検査済証が発行されていればそこに記載があるばずです。で、記載事項証明を確認検査機関に持ち込み説明しましょう。

そもそも発行されていない場合

2パターン目は、竣工時の最終検査をそもそも行っていない場合。こっちのほうが事例としては多く、やっかいです。

ただ、この点については、国交省からガイドラインが出ていますので、検査済証がないからという理由のみで用途変更ができないわけではありません。基本は、確認検査機関と建築士によって確認申請どおりにその建物が建っているのかの確認を行い、それで問題がなければ用途変更の手続きに移ります。

現状、残っている図面の状況では構造計算から行わなくてはならない場合等もあり、費用が相当額かかる場合もあります。うちでは、検査済証がないという理由だけで案件を扱わないわけではないのですが、だいたい他の図面もほとんどないという案件が多いので、現実化しない場合が多いです。

購入する際には用途変更不可のリスクが伴うことを、しっかりと把握したほうが良いと思います。

また、確認検査機関によってはこのガイドラインに対応していないところもまだまだありますので、事前に確認検査機関に確認が必要です。

こちらから、検査済証なしの場合ガイドラインに沿って対応してくれる検査機関が確認できますので、一度問い合わせることをお勧めします。問い合わせの際には、できれば建築士経由で話をされたほうが良いかと思います。

この案件の場合、確認済みはおりていますので、確認申請副本や構造関係の図面がどの程度残っているかが判断の分かれ目かと思われます。

施設の使い方について

次に、想定されている使い方について。

現在考えている業態は、2階と3階に25名〜30名宿泊できるゲストハウス、一階と地下をゲスト共用キッチンと、カフェもしくはスポーツバーを営業。地下は天井が低いので、使い方を今後検討。

ここで建物写真は出せませんが、建物外観をストリートビューで見ますと、1階からの階段が螺旋階段にみえるのですが、いかがでしょう。旅館・ホテル・簡易宿所を含む特殊建築物の場合、螺旋階段は避難用の階段とは認められませんので、2階、3階へと続く階段が螺旋階段のみであれば、この物件は用途変更できない物件になります。その点、注意が必要です。

2階と3階の収容定員は簡易宿所でいくなら、柱や梁を考慮しない場合、2段ベットで入れて28人(各階14人/7ベット)ぐらいが妥当なところかと思います。なので、25~30人というのはいい見立てではないでしょうか。共用キッチンもあればゲストは使うでしょうから、良いかと思いますが、管理と清掃が大変そうですね。1階には追加でフロント、共用トイレが必要になります。

スポーツバーをやるのには、やり方によっては特定遊興飲食店営業という旅館業とはまた違った許可が必要になりますので、注意が必要です。風営法の範疇ですね。

地下が登記されていないという事が気になります。

竣工時に地下部分だけ登記しないというのはあり得ないでしょうから、地下は後から増築した可能性があります。そうなると現状は確認申請と違う建物ができていることになり、違法建築物となってしまいます。既存不適格ではなく違法建築ですので、用途変更時には適法状態に戻さなくてなりません。確認申請時に地下部分がなければ、地下部分をなくす工事が必要になります。

そういった工事がそもそも可能かどうかわかりませんが、費用がかさむことだけは確かでしょう。


問い合せ内容にある情報で気になる点はこれぐらいでしょうか。

検査済み証なし、未登記部分あり、螺旋階段の可能性から、なかなかこの建物は難しい案件だと思います。既存で取得している建物であれば、チャレンジしてみるのも手ですが、購入を検討している建物としてはちょっとリスキーすぎる気がします。

まずは、登記事項証明書の取得、役所の建築課にいき台帳記載事項証明書の取得をして、どんな建物なのかをしっかりと把握することが喫緊の課題かと思います。

では。

 

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冬木 洋二朗

代表・行政書士Team NanatsuBa
民泊実務集団TEAM NanatsuBa代表。 行政書士。 適法・合法な民泊運営の為の各種許可申請代行を専門家チームで行っております。これまで、上場企業から個人投資家まで多くの方とご一緒にお仕事をさせていただきました。2014年から、当ブログで情報発信をしています。