旅館・ホテル営業にしても、簡易宿所にしても、許可取得のための概念に有効床面積というものがあります。

この有効床面積なるもの、いわゆる通常の床面積とは少し異なる概念であるうえに、意外と重要な概念ですので十分に注意が必要です。
通常の床面積とは
有効床面積を理解するには、まずは通常の床面積という概念を理解する必要があります。
通常の床面積とは、客室内で宿泊者が立ち入ることができる部分のことです。トイレ・お風呂・洗面所は床面積には含まれますが、ほとんどの自治体で押し入れ・クローゼット・床の間は除外されています。

客室の中でなにか区画されているようなスペースは除外されろと考えて良いと思います。リネン庫なんかも除外している自治体が多いです。
で、この床面積が旅館・ホテル営業であれば、7㎡以上(ベットを置く時は9㎡以上)必要になります。
以上が床面積についてです。
- 客室内のほとんどの部分が床面積に含まれる
- クローゼット、押入れ、リネン庫は床面積から除外される
- 最低でも、1つの客室で布団を敷く場合は7㎡、ベットの場合は9㎡のスペースが必要とされる
まとめるとこんな感じです。
有効床面積とは
で、ここからが本題の有効床面積についてです。
有効床面積とは、宿泊者が休憩できるスペースのことを言います。さきほどの通常の床面積からさらに一定の場所の面積を除外したものが有効床面積になります。
通常の床面積でも除外されたクローゼットや押入れ部分の面積はもちろん除外されます。さらに、トイレ・お風呂・キッチン・洗面所なども除外されます。固定式の家具部分も除外です。
ベットサイドの固定式のサイドテーブルなんかも除外です。
有効床面積は狭いほうが良い
有効床面積に算入されるのは、客室内のベット部分となにも置いていないスペースのみです。動かせるテーブルや椅子が置いてあるスペースは算入されますが、固定式のテーブルは除外されます。また、客室内にキッチンや洗濯機置き場がある場合には、その部分も除外されます。
このように、ほとんどの面積が除外される有効床面積ですが、それで良いのです。有効床面積は狭いほうが許可を取得する側としてはやりやすいのです。
はじめに説明した通常の床面積は、最低床面積確保のための指標になるものだったわけですが、これに対して有効床面積は、窓面積の算定の指標になるものです。
窓面積は、有効床面積の何分の何という形で判断されます。有効床面積の1/10だったり、1/8だったりという感じです。
なので、有効床面積が狭ければ狭いほど、必要な窓の面積も少なくても済むという事なのです。
通常の床面積は少なすぎるとやばかったのに対して、有効床面積はその逆で、広すぎると必要な窓面積が多くなり、やばいというわけです。
結構、ややこしい床面積の関係としては、こんな関係があります。
この有効床面積の出し方、算入部分については自治体ごとにかなり違いますので、必ず事前に確認してください。特に旅館業ではなく、簡易宿所の場合には窓面積は死ぬほど重要になりますし、修正が簡単にはできない部分ですので、事前確認は死ぬほどしてください。
実務では窓が足りないのが一番怖いです・・・
まとめ
今日は、有効床面積についてでした。
まず、通常の床面積という概念を理解して、次に有効床面積を理解する。
有効床面積は窓面積との関係で必要となる概念なので、とても大切。
有効床面積は狭いほど許可がとりやすいという感じでした。
冬木 洋二朗
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