建築基準法の一部を改正する法律が2018年9月25日に施行されました。
ただ、現状はまだ用途変更の確認申請は100㎡以上の場合で必要ですし現に実務でもそうなっています。
なぜでしょう。
施行は2段階
それは、この建築基準法の改正の施行方法が2段階になっているからなのです。
縦の画像で見にくいですが、これは建築基準法の改正の新旧対象目次です。
そこには、1条関係の規定の施行日は公布の日から3か月以内、2条関係の施行日は交付の日から1年以内となっています。
民泊に関係する部分、用途変更の確認申請なんかはこの2条関係に属するのでまだ施行されていないのです。
具体的な日程は?
改正案の公布日は、2018年6月27日ですから、この日から1年以内の2019年6月27日までには遅くとも施行されます。その時点で用途変更確認申請の対象が200㎡以上からになります。
では、改正内容を見てみましょう。
用途変更確認申請が200㎡以上から
建築確認を要しない特殊建築物の範囲の拡大という事で、200㎡未満の旅館・ホテル・簡易宿所等の特殊建築物の用途変更確認申請は不要となりました。
これまでは、100㎡を超えると用途変更確認申請が必要だったのに比べ、この改正によってかなりの物件が活用できるようになるのではないでしょうか。
実質的な用途は満たしている必要あり
実質的な用途としてはもちろん、旅館・ホテル・簡易宿所になっていなければなりませんが、申請手続きが不要というのは事業者側としてはかなりの負担減になります。
3階建てでも耐火建築物としなくてもよい
つぎに、耐火建築物等としなければならない特殊建築物の対象の合理化ということで、これまで3階以上の建物を旅館・ホテルに用途変更する場合、耐火建築物とすることが必要でしたが、この規定から階数が3階以下でかつ延べ面積が200㎡以下の場合が除かれました。
ようは、3階建ての戸建て住宅で、旅館業や簡易宿所を始めようと思った場合、これまではその建物は耐火建築物でなければならなかったのですが、改正後は耐火建築物でなくても良いということです。
木造3階建ての戸建て住宅に活路が
これまで、耐火建築物でないということで諦めていた物件にとっては朗報になります。
けっこうな割合で3階建ての木造物件はありますから、ストック物件の有効活用ができそうです。
満たすべき警報設備
ただ、これには「政令で定める技術的基準に従って警報設備を設けたものに限る」という括弧書きがありまして、耐火建築物でなくてもよいが、何等かの警報設備を設けなければなりません。警報設備の詳細は現状ではまだ決まっていませんが、消防で必要とされる通報装置や、電話機器をつけるような形になるのかも知れません。
以上が、建築基準法の改正で民泊に関係するであろう部分です。
おそらく、施行は2019年の6月後半ギリギリまで待つかと思われますので、しっかりと準備ができそうですね。
冬木 洋二朗
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