• このエントリーをはてなブックマークに追加
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 第1回追記:2016年8月25日

1月29日に東京都大田区で特区民泊の申請がはじまり、それに伴い大田区は具体的なガイドラインと民泊規則を発表しました。

今後、各自治体が特区民泊を行う際のスタンダードとなっていくであろう大田区のガイドライン・民泊規則を徹底解説します。

基本的には、民泊許可をとりたいなーと思っている方や、民泊に関する知識を深めたい方がじっくりとお読みいただければいいと思います。大田区の民泊条例・民泊規則・ガイドラインを一回まとめて読みやすいように、再構築していますので順を追って読むのが一番わかりやすいかと思います。

では、いきましょう。

1.民泊実施地域(施行令12条1項)

自治体で民泊条例が制定されれば、その自治体のどこでも民泊ができるというわけではありません。特区民泊には、実施可能な地域があります。

民泊条例?特区?という方は、特区での民泊が適法になる民泊許可(特定認定申請)とはをまずはお読みになってから戻ってこられたほうが、理解が進むと思います。

大田区であれば、基本的には市街化区域のうちホテル・旅館が建築可能な地域で特区民泊を行うことができます。具体的には、第2種住居地域・準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域です。

第1種住居地域の場合は、床面積3,000㎡以下であればOKです。

※大田区の民泊実施可能地域は、こちらのPDFから確認できます。

建物が実施可能地域と実施不可能地域にまたがっている場合

建物の敷地面積が実施可能地域と実地不可能地域のどちらが多いのかで判断します。100㎡中、実施可能地域にかかる敷地面積が60㎡であれば、その建物で民泊が実施できるということです。

もっとも、実施地域については大田区が公開している上のリンクのPDFも非常に見にくいです。なので、物件を最終確定させる前に必ず大田区保健所に具体的な住所を提示して、実施可能地域を確認するようにしましょう。

1-1.近隣対策の重要性

特区民泊では、特定認定申請前に近隣住民に対する周知義務があります。基本的には民泊施設から半径10m以内の近隣建物にポスティングという形で周知をすれば良いのですが、これには注意が必要です。

大田区が公表しているガイドラインには、周知の結果として近隣住民からの反対については触れていませんが、住宅密集地域等では近隣住民との付き合い方が非常に大切になってきますのでしっかりとした配慮が必要となります。

近隣住民の周知範囲については、民泊での近隣住民への周知を徹底解説!で詳しく解説しています。

この周知については申請時の添付書面として、実際に周知した世帯の名前、住所等、反対意見の有無等、どんな経緯でどんなやりとりが行われたのかを記載しなければなりません。

2.賃貸借契約及びこれに付随する契約

特区民泊では、ゲストとホストは民泊用の賃貸借契約を結ばないといけません。この民泊契約を賃貸借契約と呼ぶことにはいささか疑問があるのですが、それはここでは置いておきます。

この契約書については、定期借家契約を基本とした方法や、通常の賃貸借契約で行っている業者もあるみたいですが弊所では大田区特区民泊専用の契約書を作成しております。

ホストはゲストと宿泊開始時に6日間以上の賃貸借契約を結ばなければなりません。

対応外国語

この賃貸借契約書は、宿泊するゲストの言語圏に対応した外国語で作成されたものでなければなりません。英語圏のゲストを泊める場合には、英語で書かれた賃貸借契約書を使用しなければなりませんし、韓国語圏の方を泊めるのであれば韓国語で書かれた賃貸借契約書が必要になります。

ここで、対応外国語としたものに関してはその対応外国語で書かれた、ハウスルールや火災発生時の緊急連絡先等、施設で使う全ての案内に対応外国語での表記が必要となってきます。

賃貸借契約書の記載事項

賃貸借契約書に記載しなければならない事項は以下のとおりです。

①7日以内の解約ができない旨

大田区での特区民泊には宿泊日数の制限があります。6泊7日、それが大田区での最低宿泊日数です。

その宿泊日数を守らせる為に、民泊に使う賃貸借契約書では、例え6泊未満の宿泊で途中キャンセルがあった場合(3日だけ宿泊して帰ってしまった場合)でも6泊7日分の料金を返金しませんよ、という規定を設けることが必要とされています。

この規定が賃貸借契約書にあるのか、ないのか、その規定の存在によって「7日以内の解約ができない旨」の記載を判断します。したがって、賃貸借契約書には料金返金禁止規定が必要となります。

②施設滞在者は日本語又は、外国語に対応できるものであること

これは、対応外国語の範囲内でのみゲストを宿泊させてください、という旨を裏側から規定したものになります。

③旅券・身分証明書呈示義務

外国人旅行者は、パスポートを、日本人の宿泊者は免許証等の身分証明書を呈示してくださいというものです。

④注意事項遵守義務

各種注意事項を遵守してください、という規定を設ける必要があります。

注意事項とは以下のようなものです。

  • 施設に備え付けられた設備の使用方法
  • 廃棄物の処理方法
  • 騒音等により近隣住民に迷惑をかけないこと
  • 火災等の緊急事態が発生した場合の通報先及び初期対応の方法

⑤対応できる外国語の種類

対応できる外国語を記載します。ここで記載した外国語の種類が宿泊できるゲストの言語圏の種類に対応するということになります。賃貸借契約書もここで記載した外国語の種類の分だけ必要となります。

⑥各施設で提供する役務

ちょっと、分かりにくいですが、これはゲストは民泊施設をどこまで使用できるのかということです。例えば、一階にトレーニングルームがあるマンションの場合にはゲストはそこを使用できるのか、プールがあるマンションの場合、ゲストはそこを使用できるのかといったことです。

使用できる、できないを明確にしておいたほうが後々のトラブル防止にもなりますので、はっきりと記載しましょう。

 3.宿泊日数

上でも触れたように特区民泊には最低宿泊日数があります。この最低宿泊日数により特区民泊制度から短期宿泊を排除し、ホテル・旅館と民泊のすみ分けを図っています。建前上は、ですが。

最低宿泊日数

6泊7日が大田区特区民泊での最低宿泊日数になります。2泊、3泊、4泊・・ではダメです。6泊からの宿泊が要求されています。

最長宿泊日数についての規定はありませんので、2週間でも1ヶ月でもOKです。

4.床面積25㎡

国家戦略特別区域法施行令 12条3項

イ、1居室の床面積は、25㎡以上であること。但し書き省略。

大田区に限らず特区民泊においては、民泊施設の一居室の床面積は25㎡以上でなければなりません。

一居室とは

では、一居室とはどの部分を含むのでしょう。

大田区審査基準によれば一居室とは、寝室、台所、浴室、便所、洗面所、玄関、廊下、クローゼットを含んだもののことです。ようは、一部屋のベランダを除いた全てのスペースのことです。

特区民泊では、それらを合算して一居室と呼びます。したがって、ベランダを除いた全ての部分を足したものが25㎡以上であれば、特区民泊における床面積要件は満たしています。

大田区のガイドラインでは行政指導の指針として、ゲストの睡眠・休憩等の用に供する部分の床面積は一人当たり3㎡のスペースが確保できてないといけない、とされています。これは、審査基準ではなく、その名の通り指導指針になります。したがって、これに反していたら直ちに不許可になるのかといったらそうではありません。あくまで、行政指導の対象としてなので、厳密な意味での一人あたり3㎡は要求しませんが、それぐらいのスペースは確保してくださいという趣旨のものになります。狭い部屋に無理やりゲストを押し込んで宿泊させるような悪質な運営を排除することに、このガイドラインの趣旨がありますので、審査基準とは別の行政指導ということになります。

もっとも、どう見ても一人当たり3㎡満たしていないような場合には、おそらく不許可になるだろうと思います。

 特区民泊(外国人滞在施設経営事業)が想定している民泊とは

特区民泊では、いわゆるホームステイ型の民泊は想定していません。ホームステイ型民泊とは家主が住んでいる部屋の空いた部分を民泊に使うというタイプです。

3LDKの一部屋部分を民泊施設として登録することは、大田区の特区民泊では認められていません。airbnbで考えるなら「まるまる貸切タイプ」のみが特区民泊の対象となっているということです。「シェアルーム」「個室」タイプは特区民泊の想定外ということです。

㎡数の算定方法

部屋の㎡数を算定するには、2つの方法があります。内法算定と壁芯算定です。

内法算定は、壁から壁までの長さを図って㎡数を算定します。これに対して壁芯算定は壁の中心線から、反対側の壁の中心線までの長さを図ります。

つまり、内法算定より壁芯算定のほうが壁の厚さの分だけ㎡数が多くなるのです。登記簿謄本(登記事項証明書)の記載は内法算定ですが、建築図面は壁芯算定で書かれている場合が多いです。

image82

大田区では、壁芯算定での運用が決定しています。大阪府でも壁芯算定での運用が予定されています。

もっとも、申請時に大田区が実際に壁芯で計るのか、といったらそうではなく、申請者側が用意した図面と現地での簡単な調査で㎡数は判断するとの事です。

5.出入口及び窓の鍵

ここでの出入口とは玄関のことです。3LDKの場合の各部屋の鍵は不要です。

6.居室と他の居室、廊下等との境

ここでの居室と他の居室とは、マンションでいうならば301号室と302号室のことです。

各部屋の境が壁つくりじゃない部屋が今の時代にあるのか、と言われそうですが、この規定は注意的に当然のことを規定したものとの解釈でよいとのことです。この規定の存在が、3LDKの一室での民泊を認めているとの解釈もできそうですが、大田区の回答はそうではないとの事です。

7.適当な換気、採光、照明、防湿、排水、暖房及び冷房の設備

換気、採光、照明、防湿については一般的な建物のレベルでOKです。排水については下水道接続でないとNGです。

しかがって、汲み取り式のトイレではダメということになります。冷暖房は温度調整機能付きであることが要求されています。

冷暖房器具の台数について

エアコンの台数については、各部屋に1台づつなくてもOKとの回答をいただいています。3LDKの部屋であれば1台リビングにあれば良いとのことです。

8.台所、浴室、便所及び洗面設備を有すること

民泊施設の4大必須設備ともいえるこの要件、一つでも設備が欠けた場合は民泊施設として不適切です。

浴室は、浴槽が必要です。シャワーだけではダメです。

便所は、洋式便器のみが認められます。和式便器ではダメです。

洗面設備は、台所とは別に設ける必要があります。台所と兼用ではダメです。

9.必要な器具

調理の為に必要な器具、寝る為に必要な家具、清掃の為に必要な道具を備えていなければなりません。一般的に生活ができるレベルであれば問題ないでしょう。

10.清潔な居室の提供

民泊施設を提供する時には、清潔な状態でなければなりません。廃棄物がなく、調理器具はしっかりと洗浄されたものであって、リネン類の洗濯も行き届いていなければなりません。

11.外国語を用いた案内、その他必要な役務を提供

施設の使用方法、緊急時の情報提供、その他滞在に必要な役務を提供しなければなりません。

外国語の案内は、もちろん対応外国語全てで作成しなければなりません。

廃棄物の処理方法、騒音について、火災発生時の初期対応・通報先、急病時の通報先等について外国語での案内を用意する必要があります。

その他必要な役務とは、消防法令で義務付けられている設備がしっかり備え付けられていることや、施設を使用することについて正当な権利を有することをいいます。

施設使用の正当な権利とは、ゲストではなく、ホストがということです。自己所有の民泊施設であれば問題はありませんが、賃貸物件の場合には家主からの承諾は必須です。

12.消防での手続きについて

特区民泊では消防法に基づいた手続きも必要となります。

特区民泊の場合、消防法の手続きは通常の旅館・ホテルの同様の基準が適用されます。消防法上は特区民泊の解釈はあくまで実質的な用途を基準に考えますから、旅館・ホテルの基準に従います。

民泊と消防法については、民泊と消防法について:自動火災報知機等、消防設備設置義務を参考にしてください。


大田区での特区民泊の条件は以上のようになります。基本的には特区法施行令12条にそって、大田区が用意した審査基準となります。

特区民泊申請をお考えの方は、参考にしていただければ幸いです。

 

民泊実務集団TEAM NanatsuBaとは

簡易宿所・旅館業・特区民泊許可取得の為の施設設計・デザイン・施工・各種許可申請を行政書士・建築士をはじめとした専門家チームで行います。行政書士・建築士・不動産会社・工事施工会社等、宿泊業のプロフェッショナルが物件紹介から施工までワンストップでサポートします。詳細はこちらから。

Facebookグループで簡易宿所・民泊許可情報共有中!

image107 簡易宿所・旅館業許可物件情報を不定期配信しています

空き物件・売り物件情報を求めています

デザインから設計、許可まで

image47
The following two tabs change content below.
冬木 洋二朗

冬木 洋二朗

代表・行政書士Team NanatsuBa
民泊実務集団TEAM NanatsuBa代表。 行政書士。 適法・合法な民泊運営の為の各種許可申請代行を専門家チームで行っております。これまで、上場企業から個人投資家まで多くの方とご一緒にお仕事をさせていただきました。2014年から、当ブログで情報発信をしています。