民泊新法で家主不在型民泊を行う場合、又は自分で管理する客室の数が6部屋以上であるときは、その民泊施設の管理はライセンスを持った1つの業者に委託しなければなりません。
この業者のことを、住宅宿泊管理業者と呼びます。
住宅宿泊管理業者の業務
管理業者は、民泊から発生する雑務を管理し、その責任を負います。具体的には以下のようなことを行います。
- 宿泊者の衛生の確保
- 宿泊者の安全の確保
- 外国人宿泊者に対する快適性・利便性の確保
- 宿泊者名簿の作成・保管
- 宿泊者への説明
- 苦情等への対応及び記録の作成
- 廃棄物管理
ただ、これらの業務を実際に管理業者が全て行っているかというと、そうではなくて、管理業者は各業務を再度専門業者に外注しています。全て自社でこなしている管理業者は少数です。
メール対応のみ自社で行い、廃棄物処理や苦情への対応は他社に外注するという感じです。
日々のリスティングの管理は別モノ
注意しなければならないのは、この中には民泊を運営する中で最も大切なリスティングの管理は含まれていないということ。日々の予約の管理、ゲストとのやりとり、料金の設定などは法的には管理業者の業務でありません。
ただ、実際にはそういったリスティングの管理を従来からメインで行っている運営代行会社が、住宅宿泊管理業者になっている場合が多いので、全て任せられる場合がほとんどです。
中には、リスティング管理は全くやらないという業者もいますので事前確認が必要です。
管理費に注目
ここら辺は月の管理料金で見分けがつくと思います。管理業務しかやらない業者は定額で安い場合が多いです。反対にリスティングの管理までしてくれる業者は、売上の15%、20%を要求する場合が多いです。
委託先はあくまで1つ
民泊事業者が管理業務を委託できる委託先はあくまで1つです。管理業者は1社まで。
ただ、その管理業者が民泊事業者から委託された委託業務をさらにほかの専門業者に委託する場合には話しは別です。再委託は禁止されていません。全部の業務を再委託することは認められませんが、各業務を専門業者に再委託することは何ら問題ありません。
あくまで、管理業者が最終責任を負いコントロールできる範囲で、清掃やごみ処理や苦情対応といった個別業務を専門業者に再委託することは認められています。
駆け付け業務の委託
再委託する業務の中で、悩ましいものが民泊施設への苦情・緊急時の駆け付け業務です。駆け付け業務とは、民泊施設でなにかあった場合に実際に現場まで駆け付けて対応すること。駆け付け時間は30分以内です。
30分とは、徒歩なのか、自転車やバイクでも良いのかという問題がありますが、ほとんどの自治体では「手段問わず」というスタイルが多いです。ただ、徒歩限定という自治体も少なからずありますので事前確認が必要です。
自分への再委託
駆け付け業務の最も効率的な再委託先は民泊業者である自分です。先ほど触れたとおり、1回管理業者に委託すれば、委託業者は各業務を再委託することができますので、その再委託先を民泊事業者である自分にしてもらえば良いのです。
民泊事業者が民泊施設から30以内に住んでいる場合、そうする事で大幅に委託料を節約できますし、清掃やごみ処理も再委託してもらえばほとんど自分が管理しているようなものになります。
したがって、住宅宿泊管理業者は民泊施設の近くにある業者である必要はなく、遠方でも構いません。
できるだけ安い業者を探すことができれば大幅経費の節約になります。こういた点からも民泊をはじめる場合は自宅の近くという条件は、意外と必須条件なのかもしれません。
まとめ
今日は、住宅宿泊管理業者についてポイントだけまとめました。
大切なのは、駆けつけや清掃は再委託が認められているということ。さらに、その再委託は民泊事業者である自分でも問題ないということ。
この2点がポイントになります。
では。
冬木 洋二朗
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