旅館業法上の4種類の許可形態である、ホテル・旅館・簡易宿泊所・下宿について必要な設備をまとめました。第1弾としては、ロビー・食堂・調理場についてです。
ロビー・食堂・調理場
旅館以下の形態ではロビー・食堂・調理場の設置は必須ではありませんが、設置することは自由です。その際は、ホテルでの基準を参考にして広さ等を決めていくことになります。
それぞれの許可形態において客室以外に必要な設備を比較してあります。
以下、見てみましょう。
ホテル
ホテルの場合にはロビー、食堂、調理場が必須となります。ロビーや食堂、調理場の広さに厳密な規定はありませんが、宿泊定員や利用形態に応じた十分な広さの確保が必要ということで要綱によってある程度の広さの基準が決まっています。
ロビー
旅館業法上のロビーとは、玄関帳場(フロント)に附属する場所で、待ち合わせ又は談話できるように椅子・テーブル等を有する室又は場所をいいます。室又は場所ということなので玄関とは別にロビー室を設けても良いということです。
ロビーの広さはについては、一定の指導基準があります。基本的には収容定員の数に一定の係数をかけたり、足したりしながら算出します。
食堂・調理場
調理場・食堂は壁や板によって他の部屋等としっかりと区画されていなければなりません。もっとも、自治体によっては、調理場や食堂はホテル経営者ではない者が経営しているものでも、宿泊者への食事の提供が可能であれば問題ないとしているところもあります。
ただ、調理場や食堂がホテル経営者でない者が経営している場合、仮にそこが潰れてしまった場合には新たに調理場・食堂を設けなければなりません。これは、後で説明する近くに公衆浴場がある場合でも同じです。
調理場の構造設備については「食品衛生法」での飲食営業の施設基準に適合する必要があります。
食堂の広さは収容定員一人あたり。0.8㎡~1㎡の広さの確保が望ましいです。
東京都の多くの自治体で共通している調理場・食堂の要件をまとめると以下のようになります。
- 壁・板その他適当な物により、他の部屋から区画されていること
- 宿泊者に食事を提供するのに支障のない広さを有すること
- 出入口・窓その他開閉する箇所には防虫設備を、排水口には防鼠設備を設けること
- 十分な能力の換気設備を有すること
- 調理場、食堂部分をホテル営業者以外の者が経営する、宿泊者への食事の提供が可能ならば支障ないものとする
旅館及び簡易宿泊所及び下宿
旅館・簡易宿泊所及び下宿においてはロビー、食堂、調理場は必須ではありません。もっとも、旅館・簡易宿泊所及び下宿でもこれらの設備を設けることは全く問題ありません。
その場合には、広さ等についてはホテルの基準に準じる必要があります。
冬木 洋二朗
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