民泊を始めようとする場合に、最も頭を悩ませる問題の1つが「ごみ」についてです。住宅宿泊事業でも特区民泊でも、民泊施設から出たごみは普通の一般家庭から出るごみとは異なった扱いを受けます。
これらを「事業系ごみ」といいます。
ようは、一般家庭からの「ごみ」ではなく、何らかの事業の結果出た「ごみ」のことです。そして、この事業は営利・非営利を問いませんので、非営利団体が行う活動から出たものも「事業系ごみ」となります。
民泊の場合は、許可申請前にごみの処理方法をしっかりと定めている事が必要になります。自治体によっては、事前協議を行い、どのようにごみを処理するのかを書面で確認するところもあります。だいたい、ごみを出し始める数週間前に事前協議を終わらせていなければいけない等、手順が決まっていますので注意が必要です。
民泊施設から出るごみは2種類に分けられます。
事業系一般廃棄物としてのごみ
燃えるごみは、事業系一般廃棄物に分別されます。紙、衣類、コーヒーかす、野菜くず、生ごみ、などは一般廃棄物になりますので、一般廃棄物許可を持っている業者に収集を依頼する必要があります。
一般廃棄物許可を扱える業者というのは、後で説明する産業廃棄物収を扱える業者とは別モノですので注意が必要です。一般廃棄物許可というものは、市区町村が管轄するものであり、市町村長の裁量の度合いが非常に大きく、許可取得できる業者を限定しています。
限定された業者の中から選択しなければなりませんので、折り合いがつかない場合もあります。
もっとも、その場合には自治体へ相談してみましょう。ゴミシールを貼付して、一般家庭と同じように集積所に出せる方法を認めている自治体も多くあります。
産業廃棄物としてのごみ
民泊施設から出た燃えないごみ、弁当がら、びん、缶、ペットボトルは産業廃棄物と判断されます。産業廃棄物収集運搬業者に処理を依頼しましょう。
産業廃棄物収集運搬の許可は、都道府県が管轄ですので業者数は多く、一般廃棄物と違って許可取得も限定していないので業者は見つけやすいかと思います。
例外措置
先ほど触れたとおり、一般廃棄物を処理してくれる事業者と契約ができなかったり、ごみの量が少量だったりする場合には例外措置を用意してくれている自治体もけっこうあります。
有料ゴミシールを購入、貼付することにより、一般のごみ集積所への持ち込みが認められます。量に制限はありますが、一般ごみとして処理できるのは非常にありがたいです。
だいたいどこの自治体も少量であることが条件ですので、客室が少ない民泊であれば問題ありませんが、客室が数部屋あるような民泊施設の場合はおそらく認められないでしょう。
まとめ
まず、民泊から出るごみは私たちがいつも出している普通のごみではないこと。
そして、ごみの種類により処分できる業者が違うこと。また、例外措置も用意されていること。
民泊のごみに関してはこの3つをしっかりと理解しておきましょう。
冬木 洋二朗
最新記事 by 冬木 洋二朗 (全て見る)
- 新型コロナ無利子・無担保融資情報 - 2020年3月30日
- 銀座地区での旅館営業を行う場合の地区計画について解説しました - 2019年12月25日
- 簡易宿所の工事を頼んでいた工事業者の倒産から学ぶ3つの倒産シグナル - 2019年12月24日